■
ごあいさつ
人が『生活を営む基本的要件』は、言うまでもなく「衣食住」です。
それぞれがとても大切なものではありますが、「衣食」と「住」には本質的に大きな違いがあります。
「衣食」は個々の経済状況や趣向などの変化や経年によって、現状を維持したり、新たな選択をすることは比較的容易と言えます。
それに比べて「住」はどうでしょう。住まいでも事業所でも、造るも買うも一生にそう何度もあることではありません。財産として保全や修理をするにも多額の費用を要することが多く維持するのも、新たな建設などの選択をするにも容易なことではありません。
その「住」として最も基本的な要素の「雨をしのぐ」という機能が果たされずに害を被る消費者と「雨を防ぐ・止める」ということに対する覚悟と技術を持ち得ない方が、後を絶たない状況を目の当たりにしてきました。
時代とともに機能・デザイン・構造など様々な進化を遂げているのに常に雨漏りは発症し続けています。むしろ進化に逆行し雨漏りは増えているとさえ思えます。
言うまでもなく「技術」というものは熟練を要し、習い学び続けることで一歩ずつ進んでいきます。そして本来なら世代から世代へと受け継がれ途切れることなく伝達されるべきものです。
その技術を支える上で大切な「技術者としての心構え・誇り・魂」も含めた縦の継承が、バブル期という異常な建設ラッシュによって断絶したと言えます。
また時の流れとともに、極めて多種多様の材料や工法が生まれ工事の専門化・分業化が進み、それぞれの専門業種が自身の分野にのみ特化し取組む体制になり、他分野の業種との関連、互いの存在意義、敬意などともに建物を造っているという意識、横のつながりも断絶しつつあります。
これらの歪として雨漏りだけに限らずあらゆる欠陥が発症してきたのではないでしょうか。私たち「雨漏り診断士協会」はこのような時代の中において断絶した技術、技術者間のつながりを取戻し、真剣に雨漏りに取組むという意欲のある方々に向けて建築全般について多様のカリキュラムを用意し、幅広い見識と雨漏りの診断能力を身につけていただきたいと考えています。一定基準に達する方は『雨漏り診断士』として登録認定します。
しかし、それは一定のスタートラインについたに過ぎず、そこから雨漏り診断士の誇りを胸に、経験・学びの繰り返しが大切です。
私も雨漏り診断について特別な能力を有するわけではありません。しかし、覚悟を決めて真面目に学ぶ姿勢があれば、必ず解決できると信じています。
皆さんと同様「真剣に雨漏りに取組みたい、でもどうしたら・・・」と思いを馳せるなかこの指とまれと、人差し指を掲げただけのことなのです。
共に学び続けて高め合い、意義のあるネットワークを構築して、社会に役立つことが『雨漏り診断士』の大切な役割であると確信しています。本講座・認定が皆様の大いなる活躍の一助となることを願ってやみません。
特定非営利活動法人 雨漏り診断士協会
理事長 蓮見 恵一
(一級建築士)
.